アナウンサーと言えば声を使ってお仕事をするという職業の中で最も知名度が高いので、思わず全員がバイリンガルのような英語力を持っていると考えられがちですが、実際はアナウンサーだからと言っても就職時に英語力が引き合いに出されて合否が決定されることはなく、入社後も評価に直結するということはありません。
そうした事実を裏付けるのが、東京にオリンピックを誘致する際に先頭に立って活躍したハーフのアナウンサーであり、元来流暢にお話している様子がメディアで報道された事が無かったので、世界に向けて外国語を使っているシーンは大きく取り上げられました。
あえて使っていなかったのではなく、用いるべきシーンが無かったというのが本音であることからもわかるように、現状としては能力を持ち合わせていたとしても活用できる場面が無いのです。
しかも、あらゆる事をエンターテイメントと結びつけるという特性があるので、堪能な英語力があったとしてもキャラクターとして確立するといった事以外に使える場面がありません。
そのような点からネイティブな方と対等に話し合いができるのに、あえてプロフィール欄に書き込んでいないアナウンサーも多く、時折スポーツ番組などでスポーツ選手に単独インタビューをしている様子を目にして初めて英語力の高さを知らしめる人材も多いです。
そういった能力を得られているのは一人一人理由が違うのですが、意外なほど多いのは突出した意気込みを持たずに何となく学生時代などに勉強していた事です。
この手のお仕事に就く方は漠然とした進路の中から選ぶのではなく、子供の頃から抱いていた夢に向かってひた走ってきた者が多いので、英会話ができたら有利に夢が叶えられそうという気持ちを持ち続けています。
そのため、大学や専門学校などに在学している時に国語の力を付けるのと同様に、欠かしてはならないものという認識で励んできているのです。
また、あまりにもアナウンサーを目指して面接を受けに来る人たちが同じ志を有しているので、テレビ局や採用担当者側も特段違和感を覚えなくなり、ある程度の英語力がある人間から優先的に最終面接まで残していき、可能であるのなら実際にカメラで撮影し、現場に投入させたらどういった見え方をするのかをシミュレーションします。
このような事実からわかりますが、海外の言語が操れるとしても融通されるわけでもないということは、中学生レベルであっても厳しい試験をくぐり抜けて合格通知を手にできる方が居るのも事実です。
忘れてはならないのはメインキャスターなどは、連日スタジオから中立的な立場でその日の様相を正確に視聴者にお伝えするのが業務なので、コメンテーターやゲストも一定の閉鎖的な環境で働くことです。
つまり、世界を駆け回るスポーツキャスターや国際記者のように、よほど長い間母国を離れているアナウンサーでなければ、英語力がきっかけで夢が叶えられないという悲しい結末にはなりません。