昔から知っている仲であったり、ずっと一緒に暮らしている夫婦というのは、言葉を発しなくても相手のことがわかるようになってきます。今どんなことを考えているのか、どんな風に思っているのかが、空気で何となくわかるようになってくるのも、長年一緒にいるからともいえるでしょう。

何も言わなくても相手の気持ちがわかるというのは便利なものでもありますが、本当にそれでいいのでしょうか。

もしかすると何も声をかけないことによって、大事なことを気付いてあげられていなかったり、わかっていると思い込んでいるだけの可能性もあります。

相手のことは自分が一番わかっているし、言葉など発しなくても相手も自分のことをわかってくれているだろうというのはとても危険なことでもあるのです。

言葉を発しないことによって、相手の不満を募らせることもありますので、必要なことはきちんと言葉にして発するようにしなくてはなりません。

例えば、ありがとう、という言葉には、とても不思議な効果があります。ありがとうと発することによって、相手の気持ちを和らげる大きな効果があるからです。夫婦の場合、ついつい忘れてしまいがちなことでもありますが、いつの間にか相手に対しての感謝の気持ちを言葉にして発しなくなっている場合がとても多いのです。

夫が仕事から家に帰ってきて、当たり前のように食卓に着き、並べられた食事を口にし、食事を終えたらそのまま何も告げずにお風呂に入るというのは、妻の不満を倍増させていきます。

妻からしてみると、毎日献立を考えるだけでも大変だというのに、栄養バランスを考えてみたり、彩りを考えてみて頑張って夫のために料理をしたというのに、ありがとうの一言もなしに食事を終えられるというのは、やりがいをなくしてしまうものだからです。

夫の立場からしてみると、一日中上司や取引先から小言を言われながらも頑張って働いてきたというのに、ありがとうの一言もなく、給料が安いと不満ばかりを言われてしまえば、頑張る気もうせてしまいます。

給料明細をもらって来て渡した時に、一言ありがとうと言ってくれるだけでも、家族のために頑張ってよかった、これからも頑張ろうという気持ちが出てくるものなのに、それもないとなれば嫌な気持ちになってしまうはずです。お互いに感謝をしていたとしても、それが当たり前になってしまうことによって、感謝の気持ちを言葉に表さなくなることによって、相手の不満は大きくなっていきます。

たった五文字の言葉を発するかどうかによって、相手の気持ちが大きく変わってきますので、出来るだけ口に出していうようにしなくてはなりません。

それは仕事面からでもいえることです。

例えば、上司が部下に仕事をお願いしたり、お茶を入れてもらったときに感謝の気持ちを述べているでしょうか。仕事なのだからやってもらって当たり前、みんな頑張っているのだからやって当たり前というような態度を示していれば、部下は仕事を楽しく行うことが出来ません。

上司として一言感謝の気持ちを伝えることによって、いくらでも部下の仕事への意欲を書き立てることが出来るようになってきますので、声をかけるようにしていきましょう。

言葉は不思議な力を持っているものですので、うまく活用しないのはもったいないです。言葉が足りないことによって、夫婦関係が悪化してしまったり、仕事がうまく回らなくなっていきますので、今までの自分はきちんと感謝の気持ちを伝えていたかを思い返してみるといいでしょう。

よく思い返して見たときに、普段から感謝の気持ちを口にしていないと思うのであれば、出来るだけ口にするように心がけましょう。

最初のうちは言いなれないからなかなか口に出せない人もいるかもしれませんが、それならば一日に何回口にするかの目標を決めてからいうことです。

例えば一日に3回といった風に、最初は少ない回数から始めてみることによって、言いやすくなっていきます。慣れてくれば徐々に増やしていくようにすれば、だんだんと自然に口から出てきやすくなるでしょう。ありがとうと告げたときに、相手がどのように反応するかもしっかりと見てみることです。今まで感謝の気持ちを伝えてこなかった人が、急に気持ちを伝えることによって、相手はびっくりしたような表情をするかもしれません。

最初は驚いたような顔をしたとしても、その後には自然と笑顔になっているはずです。

感謝されたことによって、相手もうれしい気持ちになりますので、自然と笑顔が出てくるようになれば、お互いがうれしい気持ちになってきます。その繰り返しがお互いの気持ちを穏やかにしていく事になりますので、不思議といい方向に物事が進みやすくなります。

物事がうまく回るようになれば、仕事でもプライベートでもどんどんいい方向に進むようになっていきますので、言葉の魅力を知ることにもなり、毎日笑顔にあふれた生活をしていけるようになるでしょう。